設立趣旨

 最近のHLA学の研究・臨床における進展は様々な分野で裾野の広がりをみせ、医療への予防、診断、治療における個別医療・適確医療への適用の必要性がますます増しています。基礎的にはHLAと疾患の関連と分子機構の解明、HLAの免疫以外の神経・脳における新機能の解析、エクソン以外に遺伝子多型の機能解析や遺伝子間のintergenic領域の多型の機能的意義の解明など、HLA蛋白・HLAゲノム領域の重要性がますます認識されつつあることに加え、臨床の現場においてもHLAの移植における適合性、HLAを標的にした薬剤開発、がん免疫ワクチンなどの癌免疫療法におけるHLAの役割、臨床研究におけるコンパニオン診断薬としてのHLAタイピングの重要性、iPS細胞など再生治療におけるHLA適合の重要性、薬剤副作用における個別医療、HLAと相関する疾患の診断と予防医学など、医療へのHLA学の貢献などが大いに期待されています。一方、日本組織適合性学会では、残念ながら次の時代を担う若手が十分に育っていないことが憂慮されている現状です。このような状況下でHLA分野の将来をになう若い研究者や臨床に関わる医療関係者の育成にともに、HLA学の啓蒙に地域レベルで努めることは、大いに意義あることと考えられ、このたび、関東HLA研究会を立ち上げることとなりました。

<初代代表世話人>猪子 英俊 元東海大学名誉教授